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台湾から日本へのラブレターpart2~台湾映画「海角7号」君想う、国境の南

この映画、一言で言うとラブストーリーです。そしてもっと強烈に「種明かし」をすると、この映画は台湾という国からの日本という国に向けられた愛の告白映画です。

もちろん内容は主人公のファン・イーチェンと日本人の友子(田中千絵)がいろいろな葛藤を経て結ばれるというラブストーリーであります。しかしその話ならそこら辺にいっぱいあるラブストーリーの映画に比べると見劣りがします。

恒春の付け焼き刀のようなバンドは、中孝介のコンサートの前座を務めるべく練習をしますが、たった2曲の曲がうまく演奏できません。本番は迫る、うまくはならないバンドに愛想をつかした友子は激怒し、日本へ帰ろうと荷物をまとめホテルを出て行こうとします。そこに、バンドのメンバーでもある80歳くらいのおじいさん(月琴の演奏者で台湾の人間国宝)が今夜結婚式があるのでそれに出てくれないかとやってきます。

友子は出席することで、帰国は思いとどまり、その夜、おお酔いをしてファン・イーチェンの家に行きます。そして家の窓ガラスに靴を投げたり、扉をどんどんと叩き泣き叫びます。

「なんで私をいじめるのよ!遠く故郷(日本)を離れ異国の地で一生懸命がんばっている女の子をどうしていじめるのよ!」と。

そして酔いが回り道路に寝てしまいます。そこに家に帰って来たファン・イーチェンに見つけられ抱きかかえられて家の中に入ります。友子はファン・イーチェンのベットで寝ています。

そのシーンの間に結婚式に参加した人達が酔いに誘われて海辺にでて月を見ています。その月は60年前の引揚げ船から手紙を書いている日本人に変わります。そしてその日本人は船の甲板に立っています。そしてその手紙が日本語でナレーションされます。

「夕方日本海に出た。昼間は頭が割れそうに痛い。今日は濃い霧が立ち込め僕の視界を遮った。でも今は星がとてもきれいだ。覚えているかい?

君がまだ中学一年生だった頃、天狗が月を食う伝説を引っ張りだして月食の天文理論に挑戦したね。君に教えておきたい理論がもう一つある。君は今見ている星の光が数億光年の彼方にある星から放たれている事を知っているかい?ワー。数億光年前に放たれた光が今僕達の目に届いているんだ。数億年前台湾と日本はいったいどんな様子だったろう。山は山、海は海、でもそこには誰もいない。

僕は星空が見たくなった。うつろいやすいこの世で永遠が見たくなったんだ。台湾で冬を越すライ魚の群れをみたよ。僕はこの思いを一匹にたくそう。漁師をしている君の父親が捕まえてくれる事を願って。友子、悲しい味がしても食べておくれ。君にはわかるはず。君を捨てたのではなく、泣く泣く手離したという事を。皆んなが寝ている甲板で低く何度も繰り返す、捨てたのではなく、泣く泣く手離したのだと」

このナレーションの間中、台湾人が歌う日本の歌がBGMとして流れています。

この映画がヒットした理由はここにあります。たった二人の恋愛に見せながら実は日本という国が台湾という国を愛しているにも拘わらず、泣く泣く手離したのだよ。と語っているのです。これは台湾の人からすると日本からそういわれたらハートを奪われると言う事です。そしてこの映画は台湾映画史上「タイタニック」に次ぐ興行成績なのです。

台湾の人は今現在まさにこの気分なのでしょう。

映画はその後、ファン・イーチェンの家で田中千絵演ずる友子がその手紙を見て「この手紙は大事なものよ。必ず届けて」といい、その言葉でファン・イーチェンはまた海角7号という昔の地名を尋ね、尋ねそして本当のもう年老いた友子さんに届けられる事になります。そしてその老女の顔は映りません。

この映画には、人物はいらないというか、特定した誰かではないのです。そしてその日本に対する恋情にたくさんの台湾の方が共感したということは、それだけ台湾の方が日本を愛して、愛しているということなのだと思います。


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